AMD Opteron™プロセッサのワット性能がシンクライアント・ソリューションの価値を高める

大手システムインテグレータであるTIS。同社には、将来のソリューションに関する調査・検証、開発を担い、バックエンドから事業部門を支援する技術本部が存在する。このTISの新たな強みを作り出す技術本部の中で、インフラに特化したソリューションを担当するのが基盤技術センター基盤グループだ。

同グループが2005年4月から注力してきたものの1つに、シンクライアント・ソリューションの検証と開発がある。これは、企業のクライアント環境の構造を一変するシンクライアント・システムが、セキュリティ強化に有効であると同時に、運用管理効率を高めTCOを削減できるソリューションとして脚光を浴びるようになったためだ。

実際の導入にあたって同社は、メーカー各社が販売するシンクライアント製品を調査することから着手。各製品を机上で比較し、その中でサーバ集約型のサン・マイクロシステムズの『Sun Ray ウルトラ・シンクライアント』に注目した。

同センターのエキスパートである田淵 秀氏は、「注目した理由は典型的なリソース集約型であり、シンクライアント本来の姿といえるからだ。サーバ集約型には、共通のリソースを使うことによって環境を統一でき、また運用次第でコストの削減が図れるメリットがある。さっそく、2005年7月には Sun Ray システムによる試行環境を導入することにし、Sun Ray クライアント30台ほどを関係部門に配備して、2ヵ月間にわたり評価と検証を行いました」と当時を振り返る。


管理職や事務職などの事務系の業務から適用

TIS株式会社 技術本部
基盤技術センター
エキスパート
田淵 秀氏
TIS株式会社 技術本部
基盤技術センター 主任
市田 真也氏
Sun Ray の導入は、2つの目的を持って試行的な導入から始められた。1つは、自社で全社的な導入を視野に入れながら、実際のTIS の業務に適用できるかを検証すること、もう1つは外販展開に向けて、社内に構築ノウハウを蓄積することだ。

試行環境では、フロントでシンクライアントを管理するSun Ray Server として『UltraSPARC IIIi/Solaris 9』の『Sun Fire V210』を、Windows Terminal Servicesサーバとしては『Sun Fire V20z(現在は販売完了製品)』を採用した。Sun Fire V20zは、32 ビット/64 ビットの両方をサポートする『AMD Opteron プロセッサ 250』を2個搭載したサーバマシンである。そしてこの構成のシンクライアント・システムを管理職や事務職などの事務系の業務用途から試験的に導入していった。

技術本部基盤技術センター主任の市田 真也氏は、「私どもはアプリケーションの開発をメインビジネスの1つとしている会社ですので、多くのクライアント端末はアプリ開発に用いられています。2ヵ月間評価した結果、まずはアプリ開発以外の事務系の端末、いわゆる管理職や事務職などの業務用途なら、すぐにでも適用できると判断しました」と同部門から開始した理由を説明する。

第一段階の導入が成功し、TIS は、シンクライアント・システムの全社導入も視野に入れることができるようになった。そこで大規模展開に向けて、2006年度から1事業部門に対しSun Ray クライアント約300台の段階的な導入を開始。同年5月末には一部を運用フェーズに移行したのだ。

Sun Ray クライアント約130台で業務の運用に成功

TISはシンクライアント・システムに対して不安がなかったわけではない。例えばリソースを共有する方式では処理が集中するとパフォーマンスが低下することが懸念される。しかしTISでは、業務を遂行していく上で必要となるユーザー1人当たりのメモリやCPUの使用率を試行環境で試算する計画を立てていた。そして実際に試したところ、サーバ性能が想定値を大きく上回る結果となった。

市田氏は、「Windows Terminalサーバ用途として、AMD Opteron™プロセッサの処理能力は満足できるものでした。業務アプリケーションといっても、今のところ主にNotesやOfficeを動かしているだけで、浮動小数点演算を行っているわけではありません。業務アプリケーション用途としてCPU を大きなメモリ空間上で回すのであれば、AMD の新しいプロセッサで高速に回してサーバ集約率を高め、発熱を抑えるというメリットは大きい」と評価している。

2006年8月現在、導入されたSun Ray クライアント台数は約130台になっている。事務系を始めとして、営業職、基盤系エンジニアの130人が日々シンクライアント環境で実際に仕事を行っているが、運営に問題はないという。2006年第4四半期までには、クライアントを130台から300台に展開するとともに、Windows Terminal サーバとして使用する『Sun Fire X4100』を12台にまで増やし、アプリケーション開発業務に展開していくために必要な開発ツール等の整備も行っていく考えだ。この環境での検証・チェックバックを経て、2007年より全社的に導入していく計画を立てている。


消費電力が80%削減、全社導入後のコスト削減は年間1750万円と試算

シンクライアント・システムは、基本的にデータをクライアント端末に記憶しない構造であるため、情報漏えい対策については導入した時点で強化される。運用効率の向上やTCOの削減については、削減された運用管理者の工数やユーザーの端末管理工数を、今後、具体的に割り出していく計画だ。

一方ですでに目に見えている部分もある。シンクライアント・システムの導入効果は、まず消費電力において顕著となっているのだ。同社の試算によると、全社導入を実現して、クライアントPC 2800台がシンクライアントに移行した場合、1年間で約1750万円の電力費を節約できるという。6年間で消費電力費用が約1億円削減される計算だ。

田淵氏は、「ランニングコストにおいて消費電力は無視できない額となります。その意味でもAMD 製プロセッサ搭載サーバを中心としたシンクライアント・システムが実現した低消費電力化は、たいへん大きい影響を与えたと思います」と述べる。

TIS では、自社での導入実績を基に、2006年7月からサーバとシンクライアント端末10台(30台まで拡張可能)および、導入・構築サービスをセットにした『シンクライアント スタートパック』の提供を開始している。サーバにWindows 環境をサポートしたSun Ray 端末(Sun Ray 2、Sun Ray 270)と『Sun Fire X4100/X2100』をスタートパックに採用。サーバのすべてがAMD Opteron プロセッサ搭載となったことで、さらに低消費電力化を図れる見込みだ。

x86/Solaris 10環境が整ったことで、試行環境では『Ultra SPARC III』搭載サーバが選択されたSun Ray Server にもAMD Opteron プロセッサを搭載したサーバを利用することが可能となりシステム構成もx86 環境で統一された。これからシンクライアント・システムのテスト導入を検討されている企業向けに『レンタルパック』も用意されており、セキュリティと運用コストの削減が可能なシンクライアント・システムが現実のものになろうとしている。

 

TIS 株式会社
設立: 1971(昭和46)年4月28日 事業内容:
資本金:
 
230億8,475万円
(2006年3月期)
コンサルティング、システム化計画と設計・構築、導入から運用、保守までシステムのライフサイクルをサポートするシステムインテグレーター。
金融系、製造系を得意とし、中国でもITサービスを提供。
売上高: 単体 1,027億1,400万円
連結 2,099億2,200万円
(2006年3月期)
従業員数:
 
単体 2,475人
連結 8,489人
(2006年3月31日現在)
URL: http://www.tis.co.jp

 

 


 
Advanced Micro Devices, Inc. お問い合わせ   Copyright 2008   プライバシーポリシー   商標について